スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

N×Y 奈々さん誕生日SS

ということで、こちらはゆかりなな祭に投稿したSSです。

奈々さんバースデーモノです。



『プラスマイナスサプライズ』


「お客さん、着いたよ。 お客さん!!」
「あ、ハイハイ、ありがとうございます」

前から聞こえる声に少しあわてながら紙幣を取り出す。
どうやらタクシーの中で眠ってしまっていたらしい。

「はい、じゃあ350円のお釣りね」
「どうも、お疲れ様でした」

そう言いながらタクシーを降りる。

「お疲れさん、今日の仕事はキツかったんかい? まあ、彼氏に存分に癒してもらうといいさ」

そんなことを言いながら扉が閉まり、そのタクシーは走り去っていった。
何度か乗っただけで顔見知りになってしまった運転手さん。
毎日大体同じコースを走っているらしく、私が仕事を終えてから、とある場所に行こうとすると結構な確立で出くわすようになってしまった。
雰囲気でわかるのか、彼氏云々を言われることも少なくないような気がする。

「でも、」と。

少しだけ自分でも説明できない優越感を感じてつぶやく。

「『彼氏』じゃないんだよね……」

自分で呟いたその言葉に、自然と『彼氏』ではない『恋人』のことを思い出して顔がにやけてしまう。
ふと、ハッとしてまわりに目をやった。
こんなところでにやけてたら不審者だよ。
多分見られていたらそんなことを言われるかもしれない。
幸いにもまわりに人影はなく、私はにやける顔と浮かれる心を引き締めて歩き出した。

正直な話、今日は疲れている。 けど、だからこそ、顔が見たかった。
仕事もそうなんだけど、今日は1/20。
明日も仕事はあるけれど、ここ数日は仕事の現場でずっとサプライズパーティが行われていた。
サプライズのはずなのに、こう何度も行われると、祝ってくれたことは嬉しいんだけど、驚きは薄れていってしまうわけで。

「はぁ、選ぶほうが楽しんでるようなプレゼントとかもね……」

もらった時には面白いけど、正直この後どうしようかと思える品もあったりして。
出オチなものはどうしてくれよう。 絶対に普段着れないような服とか。
数着あったから共演者の皆に着せたりして楽しかったけど。

それでもここ数日祝われっぱなしで逆に疲れてしまいそうになってくる。
そんなこんなでゆかりさんに会うのも久しぶりだ。
会えることが本当に嬉しいと思えるのは幸せなことなんだな、なんてそんなことをにやけた顔を必死に引き締めながら考えていた。

なんてことを思いながらも。
もう何度も押してきたインターホンを前に固まってしまう。
そう、何度も押してきたのに。

「さっきまで考えてたことと違うだろ、私……」

それとも、さっきまでのは本心を隠すために無意識に考えてしまっていたんだろうか。
つまり、私は、祝って欲しくて仕方ない?
それを悟られてまたからかわれるのが嫌だったのかもしれない。
いや、それともからかわれたかったのかもしれない。
そんなグルグルと回り続ける思考のまま私の指はインターホンを押していた。

よくあるようなインターホンのぴんぽーん、なんて間の抜けた音がしてから数秒後、どたどたと走り回る音。
それから、扉が開くと同時に人の大きさの物体が私に向かって飛び出してきた。

「奈々ちゃん、お疲れ様っ!!」
「ゆ、ゆかりさん、いきなり抱きつかないで!! 荷物ありますから、荷物っ!!」

そう言うと、ゆかりさんはすごすごと離れて落ちた荷物を拾って頬を膨らませた。
その可愛らしく膨らんだ頬を見ながら、寒いですし入れてくださいよ、なんて軽口を叩いてみる。
すると、ゆかりさんは目線をまわりにくるっと回した後、てててっと一人で部屋に入っていってしまった。
ゆかりさん、待ってくださいよ、なんて苦笑しながら私も部屋の中に入った。









「ゆかりさん?」

こっちを見てもくれない。

「ゆかりさん?」

そっぽを向いてしまう。

「……ゆかりさん~」

リビングを出て行ってしまう。

さっきからのこのゆかりさんの態度はなんなんだろう。
こっちを伺っているような、知らん振りを決め込んでいるような。
たとえて言うのなら、そうだ、猫が警戒しながらこちらを気にしている感じ。あれにそっくり。

そんなゆかりさんはマグカップを二つ持って戻ってきた。

「はい、ココア」

それだけ言ってまた離れたソファーに腰を下ろす。
テレビではお笑い芸人が隣に立った相方にツッコミを叩きいれるところだった。

沈黙のまま二人してココアをすする。
テレビの音なんか遠くなって、ゆかりさんがココアを飲む音と時計が針を進める音だけが聞こえてくる。
今日はゆかりさんがこのままなら、もうそろそろ日付も変わりそうだし帰ろうかな……
そんなことを思いながらココアを飲み干した。
ずっと考え事をしていたせいか、大好きなココアなのに、全然甘くなかった。

「あ、奈々ちゃん、ココアお代わり入れてくるよ」

ゆかりさんがそう言って立ち上がった。
いえ、もういいです。 今日は帰りますから。
用意した答えが喉まででかかった瞬間。

ゆかりさんの携帯が急に鳴りだした。

ゆかりさんの顔からぱっと表情が消え、携帯を手にしてすぐにパタンと閉じ、こちらを見据えている。

なんでこっち見てるんですか?
誰からだったんですか?
なんで着信音が私の歌なんですか?

聞きたいことは次から次へと浮かんでくるのにゆかりさんがこっちを無表情に見ているというだけで私は動けない。

「ゆ、ゆかりさん……?」
「ななちゃん……」

何でそんな真面目な表情で深刻そうな声出すんですかあれですか別れ話ですか私のこともう嫌いなんですかそうなんですねいやです一緒にいたいですわかれたくないです私のこと嫌いになったんなら言ってくださいなおしますゆかりさん好みの女の子になってみせますだから……

そんな混乱した私が次に感じたのは悲壮な声でも、あきれたような表情でもなく、ただ包み込むように抱きしめられる感触だった。

「誕生日おめでとう~!!」
「はい?」
「ほらほら、見て見て!! 今21日になったの!!」

そう言って差し出してくる携帯のディスプレイには1/21 00:02の文字。

「えっと、じゃあずっとそっけなかったのは……」
「だって奈々ちゃんと話してたら時間のこととか忘れちゃって一番にお祝いできないし」
「もうずっとサプライズパーティとかで何度も祝われてるんですけど……」
「関係ないの!! 奈々ちゃんがホントに誕生日を迎えて一番にお祝いしたのはゆかりだから!!」
「じゃあさっき携帯が鳴ったのは……」
「忘れないようにアラーム!!」

……なんだ、じゃあただ私は勝手に心配して、勝手に拗ねて、勝手に……

「ゆかりさん……ゆかりさん、の、バカ……」

なんだか自分が情けなくて涙が出そうになってくる。
とっさにゆかりさんのせいにしてなかったら泣いてたかもしれない。

「もう、奈々ちゃん、泣かないでよ……喜ばせたかっただけなのにそんな泣かれちゃゆかりの立場がないじゃない」
「だって、ゆかりさんがゆかりさんが……」
「あーもう、駄々っ子さんはこうだ!!」

ゆかりさんはそう言ってきゅっと抱きしめてくれた。
そして私の眦にたまった涙に口づけた。


「笑顔を見せて? ゆかりの可愛い駄々っ子さん?」









閑話。

「でも、私を泣かせたのはゆかりさんですよ」
「それはもう何度も謝ったじゃない?」
「でも、態度で示して欲しいです」
「う~、奈々ちゃんがそう言うなら……」
「ありがとうございます!! じゃあこれ着てください!!今日のサプライズパーティでネタになるってもらってきちゃったんです!!」
「………メイドさん?」
「他にもバニーさんとかチャイナとかバリアジャケットとか色々ありますよ。 ありますから、寝室行きましょう!!」
「ちょ、ちょっと奈々ちゃん!? きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!」






閑話その2

日時:2008/01/21 00:04
件名:奈々さん、お誕生日おめでとうございます!!
本文:奈々さん、お誕生日おめで(略)
   奈々さんの誕生日を一番はじめに祝ったのは私ですよね!!
   では、今年も奈々さんにとっていい年でありますように!!
                   美里


「ふっ、勝った。 お祝いしたのはゆかりのほうが2分早かった!!」
スポンサーサイト

テーマ : 百合声優 - ジャンル : アニメ・コミック

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
プロフィール

海月 洋々

Author:海月 洋々
記事一覧への
リンク

主に創作ですが、パスのかかっているものもあります。
パスは一括で、管理人の萌え系統です。
福ヘッドです!!

yu/ka/ri×na/na←○○○○○○

半角アルファベットで6文字です

FC2カウンター
月別アーカイブ
最近のコメント
最近の記事
カテゴリー
最近のトラックバック
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。